両側には多くの飲食店が犇めきあっているが、その風情からか、観光客相手の店も少なくない。通り掛かりにふらりと入って、満ち足りて、店を後に出来るかどうか、運次第とも言える。先斗町そのものが、車も通らぬ細い道だが、木屋町との間には、更に狭い路地が幾筋もあって、そこにもまた、夥しい数の飲食店が潜んでいる。「そったくつか本」もそんな一軒。人がすれ違うことすら適わぬような狭い路地。しかも通り抜け出来ない行き当たりの路の二階にある店、まさしく隠れ家である。
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店内は、僅かにカウンター五席のみ。四人掛けのテーブルもあるが、主人一人で賄う店なので、多くは荷物置きと化す。この店もまた狭き門。早めの予約は必須である。夜のみの営業、おまかせコースのみだが、若き主人に委ねれば、至福の秋が味わえる。衣かつぎ、秋鯖の小袖寿司、そして銀杏。くっきりと秋を象ったひと皿から、主人自ら毎日打つ蕎麦まで、衒いのない、素直で、心の籠もった料理が続く店は、しみじみと味わい深い。